クリスマス雑文
「お父さんが泣いた。」
三年五組 鈴木奈央
クリスマスイブの朝、お父さんが泣いていました。お父さんが泣いているところを、私ははじめて見ました。お母さんの写真があるお部屋でした。弟のひろきが起きてきて「パパどうしてないてるの?」と聞いたから私は人さし指を口にあてて「しーっ」って言いました。だまっていたほうがいいと思いました。
きょねんの夏、お母さんが死にました。私は音楽の時間で、アマリリスをリコーダーでピープーふいていました。
お父さんは泣きませんでした。しんせきのこまおじちゃんに連れられてランドセルをせおって病いんに行って、ぜんぜん動かないお母さんの体に体をくっつけて私は泣いてしまいました。たくさん泣いたので声が出なくなりました。お父さんはひろきと私の頭をがしがしなでました。お父さんはかなしくないのかなとふしぎに思いました。なみだがぜんぜん出なくなって、お父さんの顔を見たらすごくやさしい目をしていました。神様のような顔をしていました。
おそうしきの日はとてもうるさかったです。お母さんのしんせきとお父さんのしんせきと、会ったことがないお父さんとお母さんのお友達と、私のクラスの中村先生と、ひろきのようちえんの先生が来ました。それから私やひろきの友達と、友達のお父さんとお母さんと、近所のおじさんとおばさんが来ていました。いっぱい人がいて、こんなにいっぱい人がいるのを学校でしか見たことがなかったから、かなしいのに楽しくてへんでした。ひろきはおばあちゃんにぴったりくっついていました。お父さんはしんせきの人と元気がない顔をしてお話しをしていました。たまに、私やひろきを見て泣いているおばさん達に、お父さんはまた神様のような顔をしました。その時もお父さんは泣きませんでした。
でも、クリスマスイブの朝、お父さんが泣いていました。お母さんの写真を見て泣いていました。私はお父さんにクリスマスプレゼントを作ろうと思いました。お母さんが買ってくれたビーズがいっぱいあったので、ネックレスを作りました。お父さんは体が大きいので長いネックレスを作らなくてはいけません。私はいっしょうけんめい糸にビーズを通しました。ひろきも手伝ってくれました。今まで作ったものより一番じょうずに出来てすごくうれしかったです。そしてお父さんにプレゼントしました。お父さんはネックレスを持って、私とひろきをだっこしてまたいっぱい泣きました。私もかなしくなっていっしょに泣きました。でもお父さんがあたたかくてうれしかったです。
